昨今トレーナー業界では、業務委託契約での求人募集の割合が増えております。
社員雇用のみで推進している企業も少なくありませんが、この違いは何なのでしょうか?
社員雇用は安定してそう、業務委託はリスクはあるが稼げそうなどといったざっくりとした印象ではなく、
企業側の考えや働く側のメリットデメリットなどをしっかりと理解をした上で、
ご自身に合うスタイルを検討していきましょう。
本コラムはこの点について詳しく解説をしてきます。
業務委託とは
業委託契約は、そもそも雇用契約とは異なります。
企業に雇用されるというわけではなく、
企業側と対象業務に対しての契約を行うという考え方になってきます。
そのため、俗に言う社会保険の適用や 労働基準法の適用といったものがありません。
もし、あなたにすでにスキルがあり、そのスキルを生かす場を探している場合であったり、
フリーランスとして働くことに魅力を感じているという方は、業務委託が良いでしょう。
社員雇用とは
反対に、雇用契約ということは、企業側に雇われるということに当たります。
社員雇用の中でも「契約社員」「正社員」
大きく言うとこの2つに分かれる形になります。
(アルバイトもありますが、パーソナル業界では多くはありませんので、本コラムでは割愛をします。)
契約社員とは、 一定の契約期間が決まっている社員になります。
業務範囲は限定的で、正社員よりも責任の少ない業務を行うことが一般的ではありますが、
トレーナー現場においては、正社員雇用へのステップアップとして 契約社員雇用が発生する場合もありますし、
業務内容もいわゆるパーソナルトレーナー業務ということで正社員と大きく変わらない場合も存在します。
もし企業側が正社員雇用を進めているのであれば、契約社員よりも正社員の方が働く方にとって
安心感や今後のキャリアステップとしても有利に働くことと思いますので、
正社員として就職活動、転職活動することがおすすめです。
契約社員の場合は、正社員に転換するための条件はどのようなものかを事前にしとくと良いでしょう。
転換の時期や条件が明確であれば入口での雇用形態はあまり気にしなくてよい場合もあります。
もし、あなたが「まずはしっかり学びたい、経験したい」「1人よりも組織として 仕事をしていきたい」
「1人でできない大きなことを将来やっていきたい」
そんなふうに思っている方は、 業務委託よりも社員雇用がおススメです。
業務委託or社員雇用、企業側の考えとは
では、企業側としては業務委託もしくは社員雇用のどちらを中心にすすめていくか、
どのようにして考えているのでしょうか?
これは、それぞれの企業側のメリット、デメリットを考えればわかりやすくなります。
社会保険の話
それぞれのメリットの話の前に、少し社会保険の話をします。
今回の前提として大切な要件となるためです。
突然ですがシミュレーションをしてみましょう。
例えば、社員雇用で基本給が25万円、そしてその方の売り上げ実績が20万円だった場合、企業側はどれくらい赤字になるでしょうか?
単純計算5万に思えますが、そうではありません。
社会保険というものは、給料明細から引かれている金額以上に、 明細には書かれていない企業負担分というものがございます。
大体総支給の15%ほど企業側は負担しております。
つまり、先ほどの例で、25万円の給料がある方であれば、
実質の人件費というのはおおよそ28~29万円ということになります。
5万円ではなく8~9万円、会社は赤字だということになりますね。
業務委託にはこの社会保険がつきません。
保険や年金は個人で加入する形になります。
社員雇用であれば様々な要件はあるものの社会保険加入が基本的には義務づけられております。
業委委託の企業側のメリット
ではここから、業務委託契約を採用する企業側のメリットについてになります。
業務委託であれば、基本的には基本給というものがございません。
多くのところが 完全歩合性を導入しているところが多いです。
そして社会保険への加入もありません。
基本給がなく社会保険もないうことは、 会社側はリスクをおいづらくなるということです。
金銭面でのリスクが少ないということは、その分 上がった成果に対して報酬を還元しやすいということも言えます。
また、店舗などを展開するスピードも早くすることができるといった側面もございます。
その点は企業側に一番のメリットとなります。
業務委託の企業側のデメリット
一方で、デメリットとしては管理のし辛さが上がります。
働く時間に対して給料が支払われるわけではないため、時間の拘束がし辛くなりますし、
契約内容で定められた業務以外のことはやらせ辛くもなります。
また企業の理念浸透などもし辛くなりますので、組織を作っていく上ではやり辛さもでてきます。
パーソナル業界においては、チームとして組織を機能させていくところよりも、1店舗1名体制など少数での店舗運営がほとんどのため、
業務委託が増える背景としてあるかと思います。
またスタートアップの企業では、当然金銭的リスクを負えない企業が多いですので、
業務委託を採用しているケースが多くございます。
社員雇用のメリット
では、社員雇用のメリット・デメリットはいかがでしょうか。
これも先ほどの業務委託のメリット、デメリットの裏返しになりますが、
社員雇用のメリットは、 組織全体、そしてチームとして理念浸透を図り、
皆で切磋琢磨して上がっていくという、そういった組織文化を作りやすくなります。
そして、まずはスキルを身につけ、成果を出し、その先に様々な役職をつけることによって 組織自体を強めていく、
そういった組織内のキャリアステップも可能になります。
一方で、基本給や手当など一定に支払わなければならない給料を確約をしておりますので、
その分金銭的リスクは多くなります。
そういった社員に対して安心や保証をつけた上で、 しっかりと組織で1枚岩になっていく。
こんなところを目指してる企業は 社員雇用を採用しているケースが多いです。
それでは、働く側のメリット、デメリットはいかがでしょうか。
業務委託の働く側のメリット・デメリット
業務委託契約のメリットは、分かりやすく 稼ぎやすいという点にあるのではないでしょうか。
基本給がない分、安定はしておりません。
ですが、その分成果が出れば 直に自身の報酬に反映をされますので、
その分稼ぎやすいという点が1番のメリットにつながると思います。
そしてもう1つ、時間的自由になります。
業務委託の方が時間にゆとりがあるということでは必ずしもありませんが、
労働規則に基づいた 始業時間、就業時間、休憩時間等の定義はなく、
また上司の管理監督下の元にで働くわけではありませんので、そういった面での時間の自由度、
自身のスケジュールにおいて意思決定ができる、そういった点はメリットにつながるかと思います。
デメリットの面では、やはり安定や保証の部分になります。
業務委託はいわゆるフリーランスになりますので、個人で今後の未来を作っていかなければなりません。
例えば、病気になった、怪我をした、 働けなくなった、そういった時の保証は大きくはありません。
今良くても1年後、2年後、3年後同じように仕事があるかは 保証がされていません。
業務委託の場合、仕事が少なくなれば、それはその分そのまま直結して収入に反映されます。
こういった安定や保証に対してのリスク、これが働く側にとっての大きなデメリットでしょう。
社員雇用の働く側のメリット・デメリット
では、社員雇用のメリット、そしてデメリット、こちらはいかがでしょうか。
まずはメリットについてです。社員雇用を採用する多くの企業が、
教育、研修をしっかりと考えているところが多いです。
未経験であったり経験が浅い方でもしっかりと成果の出るよう、
あらゆる先輩社員や対象部署の方々が研修などを行い、
その上で仕事に邁進することができますので、そういった育成面に強い傾向があります。
また、社員雇用の企業であれば、 その企業の考えやビジョンに共感し、その上で集まってきた社員の仲間たちがおりますので、
そういったチームワークや社員同士の繋がりを持ちやすく、
人と人との繋がりが様々な面で自己を成長させてくれるということは 多くありますので、
そういった面では社員雇用のメリットに繋がるかと思います。
もう1つ、大きなメリットは安定や保証の面についてです。
社員雇用の場合、雇用契約のもと雇用保険に加入をいたします。
雇用保険に加入することによって、例えば怪我や病気で一定期間働けなくなった場合、
また 出産をし、産休、育休を取得したい場合、こういった不足の事態にしっかりと国が補填をしてくれる制度があります。
それも結構手厚い制度です。
給料明細を見ると、社会保険のかなり引かれているなと感じてしまうこともあるかと思いますが、
不測の事態に備えた保険と思えば、これも納得のいくぐらいの保証がついています。
例えばコロナ禍などで社会情勢が著しく傾いた場合、
そういった時も雇用保険加入者を対象に国はあらゆる助成金を施行し、
守ってくれたという事例がございます。
自分自身が何かがあって成果が出なくなった、今月は 実績を作れていない、
そんな時も大きく給料に左右されずに一定の給料、手当等をいただける。
こういった安定、そして保証の部分、これは社員雇用のメリットにつながるでしょう。
デメリットはやはり収入面や 働く時間に対しての考え方になってきます。
社員雇用でも高級取りの方は多くいますので、稼げないというわけでは全くありません。
しかしながら、企業側は一定のリスクを負い、 教育などに関して多額の人材投資を行っています。
採用コストもかかります。
そういった前提のもと、成果を出るサポートをしてくれますが、一気に稼げるわけではありません。
しっかりと企業文化を理解し、 成果を出し、そして出世をした上で、
ご自身のポジションを上げていく過程で、どんどん給料は上がっていくことでしょう。
時間の面については、
社員雇用であれば、 労働契約のも働く形になりますので、会社ごとに働かなければいけない時間は決まっております。
また、上司の管理監督官のもとで就業することになりますので、 自分自身の自由度は低くなるというところがあります。
業務委託と社員雇用、どっちが良いの!?
では結局、業務委託と社員雇用、どちらがいいのか。
結論、どちらが絶対にいいということはありません。
前述の通り、それぞれに メリット、デメリットがあります。
そこを知った上で、ご自身が合う方を選ぶと 良いでしょう。
企業の選択の仕方は色々ございます。
今回のコラムのように、業務委託なのか社員雇用なのかでまずは選ぶケースもあれば、
ご自身の好きな企業、ビジョンの合う企業で選ぶ場合もあります。
ただし、シンプルなおすすめとしては、もしあなたが未経験であったり 経験が浅い方で、
まずはしっかりといろんなことを企業サイドから研修を通じて学び、
周りの方々と協調性を持って切磋琢磨していきたいというのであれば、社員雇用が良いかと思います。
逆に、ある程度の実績、スキルがあり、それをより活かせる環境を探してあいるのであれば、
業務委託という選択肢もありだと思います。ぜひ今回のコラムを参考にし、考えてみてください。
今回は以上です。